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2014年12月25日

ICMI 2014 参加報告

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|◆ ICMI 2014 参加報告
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石井亮(日本電信電話株式会社 NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
 16th ACM International Conference on Multimodal Interaction(ICMI 2014)が,トルコ・イスタンブールのボアズィチ大学にて11月12~16日の日程で開催された.ICMIは多様なモダリティに着目し,人同士のインタラクションの分析・理解,それらの知見を応用した人対コンピュータのインタラクションに関する研究分野の主要な国際会議であり,毎年開催されている.例年通り,会期中は1日目にGrand challengesおよびDoctoral Consortium,2~4日目に本会議,5日目にWorkshopが開催された.本会議では,5件の招待講演,23件の口頭発表(採択率:18%),28件のポスター発表(採択率:22%),10件のデモ発表等が,シングルセッション形式で行われた.参加者は173名で,日本からは19名が参加し,国別の参加者数の第3位であった.
 本会議の口頭発表のセッションは,“Dialogue and Social Interaction”,“Multimodal Fusion”,“Affect and Cognitive Modeling”,“Nonverbal Behaviors”,“Mobile and Urban Interaction”,“Healthcare and Assistive Technologies”の6つが設けられ,特に,対話,車の運転時などの多様なシーンにおける人間の内部状態の推定や,状態に適用したインタラクション手法に取り組んだ研究発表が多く見られた.また,本年度のICMIにて特筆すべき新たな研究トピックとして,生体信号(呼吸、皮膚抵抗など)の計測と利用についての発表が数件あり,大きな注目を集めていた.今回,2件のOutstanding Paper Awardの表彰があったが,内1件については,筆者が投稿した“複数人対話における呼吸動作と次話者と発話開始タイミングの関連性の分析と予測モデルの構築”についての論文が受賞した.今後,生体信号を計測・利用した会話分析,インタフェース研究が盛り上がるものと考えられる.またAwardを受賞したもう1件は,視覚障害者向けのタッチインタフェースを用いた文章読み上げ手法に関するものであった.
 ICMIの特徴として,サテライトイベントが非常に充実していることが挙げられる.3つのGrand challenges,Doctoral Consortium,5つのworkshopが開催されたため,学生を含む多くの研究者に発表,議論の場が与えられていた.そのため,若手研究者の育成の場や,幅広い人脈形成の場として最適であると考えられる.
 次回のICMI 2015は,アメリカ・シアトルにて,11月9~13日の日程で開催される.
http://icmi.acm.org/2014/

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