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2015年5月25日

KJMR 2015 参加報告

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|◆ KJMR 2015 参加報告
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佐藤 文宏(大阪大学)
 8回目となるKorea-Japan Workshop on Mixed Reality(KJMR)が北海道の第一滝本
館にて,2015年4月24日から26日の3日間開催された*1.KJMRは日本と韓国が主体と
なって,複合現実感(MR)やインタラクティブ技術の分野での研究成果や経験を共
有し,交流を深める国際会議である.会議は,参加者数50人で18件の発表が行われ
て,松見らによる“An AR/MR Camera Tracker Using View Dependent Texture
Mapping”がThe Best Presentation Awardを受賞した.これは,視点依存のテクス
チャマッピングを利用したトラッキング技法である.異なる視点で撮影した映像を
配合することでトラッキングの精度を高めていた.
 私が最も印象に残った研究は,Meeritsらの“Diminished Reality for Hidden
Dynamic Areas”である.これは,カメラに映る障害物を透かして,障害物の裏側を見ることができる技術である.発表中の動画から障害物の裏側が自然に合成されていることが見て取れた.
 その他に私が興味を持ったのはLeeらによる“Egocentric Selection and
Manipulation for a Remote Space-Target in Wearable AR”である.この研究で
は,AR上の遠くにあるオブジェクトを手でつまむ動作を用いて操作するインタ
フェースを提案していた.
 また小畑らによる“Constructing Stable Keypoint Database for Camera Pose
Estimation using Real Image Sequences”も興味深かった.この研究では,3Dモデルを使用せずにカメラ姿勢を推定する手法を提案していた.
 会議では,最新のMR技術についての意見交換 が活発に行われていた.また,会
議以外では,北海道の食材が贅沢に使われた食事会が催され,国際交流が盛んに行
われていた.
 私はInteraction and interfaceのセッションにて手足を用いた入力によるウェ
アラブルプロジェクションインタフェースの発表を行った.国際会議での発表の経
験が少なく,英語での発表ということで研究内容を正確に伝えられるか不安に思い
ながら発表に臨んだ.実際,練習通りに発表を進めることはできたが,英語での質
問にはうまく返答できなかったのが心残りである.今後このような機会を与えられ
るまでに,さらなる深い議論ができるような英語能力を身につけたいと強く思って
いる.
 全体としては,研究領域の違う分野の方々との意見交換により,今までにない知
見が得られ,非常に良い経験になったと感じている.
 次回のKJMR2016は韓国で開催される.
*1:詳細は http://kjmr2015.sys.es.osaka-u.ac.jp/を参照

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