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2015年7月29日

IEEE WHC 2015 参加報告

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|◆ IEEE WHC 2015 参加報告
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四方紘太郎(東京大学)
 今年6月22日から26日にかけて行われたIEEE World Haptics Conferenceは米国の
Northwestern Universityで行われた.本会議は触覚研究に関して世界を代表する
国際会議の一つで,隔年で行われている(今回で6回目).開催地のChicagoは緯度
も日本とさほど変わらないせいか,過ごしやすい気候であった.
 本会議は22日にTutorial,23日から25日までは採択された論文に関する発表やデモ
展示が行われた.会議では82件のTechnical Paper,40件のWork-in-Progress 
Paper,48件のDemoが採択された.初日のTutorial Sessionでは“Wearable 
Haptics”の講演を聴講した.講演では触覚を利用したウェアラブルインタフェー
スの問題点や今後の動向などがロボティクスや神経科学など多角的な視点で議論
された.2日目から4日目のRegular SessionではPerception,Texture,Wearable,
Tactile Device and Renderingなど複数のトピックに分けてTechnical Paperの口
頭発表が行われた.
 最も印象に残った発表はMatti Streseらによる“Surface Classification Using 
Acceleration Signals Recorded During Human Freehand Movement”であった.内
容としては,加速度センサーを搭載したペン型デバイスを用いて木や石の表面など
といった表面テクスチャをなぞり,高精度で分類識別するという研究である.
1kHzのサンプルレートで加速度を記録し,メル周波数ケプストラム係数という音声
認識でよく用いられる特徴量を取り入れたところに斬新さを感じた.
 Demo Sessionはスポンサー企業の展示と同じ会場で3日間かけて行われた.触覚
ディスプレイの展示はもちろんのことであるが,VR空間の物体とインタラクション
を行う展示も多く見られた.中でも3D Systems社のブースでは,Haptic 3D Stylus
が実機を用いたジェンガゲームのスコアアタックの景品として用意され,スコア更
新時には大きく盛り上がった.筆者も“Skin Strain Inducing Elbow Joint 
Flexion”というタイトルで肘関節の屈曲刺激提示デバイスを展示し,多くの参加
者に試して頂くことができ,反応や意見を聞くことができた.
 Poster Sessionは2日目夜にメイン会場とは異なるホテルで行われたため参加者が
少ないかと思われたが,活気のある議論がなされていた.筆者もWork-in-
Progress Paperの著者として発表し,興味を持って説明を聞いて下さった方が多い
ように感じた.
 筆者にとって本会議は初めて参加する国際会議であった.出発直前までデモ展示
の準備を行ったり,英語での対応力不足など不安なことばかりであったが,実際は
拙い英語を真剣に聞いて意思疎通を図ろうとして下さる方がほとんどで,今まで着
目したことがなかった視点からの意見交換も出来たこともあり,とても有意義な時
間を過ごすことができた.Northwestern Universityにはミシガン湖が隣接してい
て景色も良かったのだが,散策する時間があまり取れなかったのが心残りである.
 次回のWorld Haptics Conferenceは再来年であるが,来年はジョイントとして
Eurohapticsが英国のLondonで,Asiahapticsが日本の柏の葉で,Haptic Simposium
が米国のPhiladelphiaでそれぞれ開催される予定である.

http://haptics2015.org/
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