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2015年8月25日

SUI 2015 参加報告

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|◆ SUI 2015 参加報告
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 3回目となるSpatial User Interaction (SUI)がLos AngelesのThe DoubleTree
by Hiltonにて,2015年8月8日から9日の2日間,SIGGRAPH2015 と併設というかたち
で開催された.近年,高性能なグラフィックエンジンや高画質スクリーン、ヘッド
マウントディスプレイ(HMD)などの映像出力技術の発展や,マルチタッチやモーシ
ョントラッキングなどの様々な入力装置の普及によって人間とコンピュータをつな
ぐユーザインタフェース(UI)の幅が急速に広がっている.SUIはこうした次世代の
UIに関する研究成果や知見を共有し,交流を深める国際会議である.
 今回のSUIでは,48件の候補の中から採択されたFull Paper 10件,Short Paper
7件の口頭発表に加え,4件のDemoと11件のPosterの発表が行われた.口頭発表は
「Selection and Manipulation」,「Gestures and Mid-Air Interaction」,
「Designing Spatial Environments 」,「Spatial Pointing and Touching」,
「Motion and Embodiment」の5つのセッションから構成された.参加者はおよそ50
人程度であった.Keynote SpeakerであるMIT Media LabのHiroshi Ishii氏による
講演では同氏の数多くの作品についての紹介に加え,常に未来を意識することの重
要性が強調された.
 Best Paperに選ばれたのはHincapie-Ramosらの“GyroWand: IMU-based
Raycasting for Augmented Reality Head-Mounted Displays”であった.これはHMD
内に表示される3次元空間に,慣性計測装置(IMU)によって検知された手元のコント
ローラの姿勢が反映される棒を表示するという入力インタフェースを提案し,評価
したものである.Hincapie-Ramosらは,従来のように外部計測装置によって正確に
コントローラとHMDの位置をトラッキングするのではなく, IMUのみによる姿勢ト
ラッキングで3次元空間とのインタラクションを実現できたとしている.IMUは今や
スマートフォンなど多くのモバイル端末に内蔵されており,すでに広く普及してい
るため,このようなUIは今後のVRやARの普及に向けて欠かせないものであると思わ
れる.
 筆者はShort Paperとして“Attracting User’s Attention in Spherical Image
by Angular Shift of Virtual Camera Direction”を執筆,発表した.これは全天
周画像の鑑賞中,特定の画像領域すなわち空間中の特定の一点の注視時間を増加さ
せる鑑賞支援インタフェースに関する研究であり,Short Paper Honorable
Mentionに選ばれた.
 その他,人間工学に基づいたジェスチャ入力手法の検討や吐息によるクリック,
椅子型ロコモーションインタフェースといったユニークな提案など多くの研究が発
表された.1日目の夜にはレセプションが行われ,世界各国のUIやVR分野の研究者
たちと交流する機会が設けられた.彼らの研究に対するモチベーションの高さや情
熱にふれることができたのは大きな収穫であった.
SUI 2015: http://sui-symposium.org/

Category: 学会参加報告

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