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2015年11月26日

UIST2015 参加報告

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|◆ UIST2015 参加報告
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中垣 拳(MIT Media Lab)
 ACM UIST 2015は11月8日から11日までアメリカ,ノースカロライナ州シャーロットのSheraton Charlotte Hotelにて開催された.今年で28回目を迎えるUISTはユーザインタフェース分野における著名な学会のひとつであり,論文採択率は例年20%程度である.本年度の論文投稿数は297 件あり,70件が採択された(採択率23.6%).昨年から採用されたデュアルトラック方式が本年も引き続き採用された.
 口頭発表以外にも,45件のデモ,20件のポスターおよび8件のStudent Competitionもあり,白熱した議論が会議を盛り上げた.2日目夜のバンケットは,会場近くのレーシングカーの博物館,NASCAR Hall of Fameにおいて開かれた.そこでは,Pinewood Derbyなるおもちゃの車のレースのイベントも開催され,参加者がレゴや3Dプリンタで作った車で競い合っていた.
 学会全体としては,近年のUISTの傾向でもある創造支援系の研究が一層増えた印象を受けた.Fabricationというセッションが全体で3つもあり,既存のデジタルファブリケーションツールの応用から,新しい創造支援デバイス,インタラクティブなフレキシブル基板の作成手法など様々な研究の発表があった.なかでも,一般的なテープを丸めてパイプを作り出し,実空間中に家具サイズのワイヤーフレーム状の物体を造形できるプロトタイピングデバイスのProtopiperは,デモ発表でも人気を博していた.
 スマートウォッチのためのインタフェースの発表もいくつか見られ,ハンズフリーでスマートウォッチを操作できるインタフェースのOrbitsでは,画面上の動く点を追従する視線を検出する手法が提案され,Best Paperの一件に選ばれた.参加者の投票で決まるBest Talkには,EM Senseが選ばれた.電子機器が発する微量の電磁ノイズをユーザの身体を通して検出することによって,触れている電子機器を識別できる技術である.また筆者らは,ライン状の変形するインタフェースのコンセプトと蛇型ロボット技術に基づいたデバイス,LineFORMについて口頭発表とデモ展示を行い,沢山のフィードバックを得ることができた.
 今回のUISTでは,日本の大学および研究機関からの口頭発表がなかったが,来年はUISTで初めてのアジア開催として10月16-19日に東京で開催されるので,多くの日本からの発表を期待したい.
 UIST2015
 http://uist.acm.org/uist2015/about

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