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2016年11月26日

DCEXPO 2016 参加報告

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|◆ DCEXPO 2016 参加報告
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亀岡 嵩幸(電気通信大学)
 2016年10月27日から30日にかけての4日間,Digital Content Expo (DCEXPO)
が日本科学未来館で開催された.今年で9回目を迎えたDCEXPOはCGや3Dな
どの映像表現にとどまらず人間の五感を刺激する体験型のコンテンツが数多く出展
されるなどVR技術の普及を感じられるイベントだった.
 本イベントの一部であるInnovative Technologies 2016では総数80件におよぶ
公募の中から20件の優れた技術が採択され,さらにこの20件の中から特に優れた
技術には特別賞が贈られた.本年の特別賞は選考委員特別賞としてNHKメディア
テクノロジーによる8K:VRシアターが,culture部門では早稲田大学 石川研究室
によるAIによる白黒写真の自動色付けシステムが,そしてhuman部門では僭越な
がら私ども電気通信大学ロボメカ工房VR部隊失禁研究会の失禁体験装置が選ばれ
た.また,Innovative Technologies2016では実用化技術大賞を選定しており,こち
らは昨年度までにInnovative Technologiesに採択された技術の中で採択時と比べ
製品化,商品化,販売体制が進展したものに贈られる賞である.この中でも私は特
に株式会社ソニー・インタラクティブエンタテイメントのProject Morpheus
(PlayStation®VR)が印象深い.本年はVR元年と言われるだけあり様々な技術や
コンテンツを通してVR技術は普及している.しかし,一般に普及しているとはま
だ言えないのが現状である.それはひとえに体験する機会の少なさやその敷居の高
さにあると考える.ソニーのPSVRはその敷居を下げ,VR技術の一般化に向け大
きな一歩を踏みだしたとして非常に意義のあるプロジェクトだと感じた.また,私
が興味をひかれた展示は筑波大学 デジタルネイチャー研究室のCross-Field
Haptics:多重場による触覚提示である.こちらの展示では静電吸着と磁性流体を用
いて複数の物理場による触覚の提示を体験できた.体験の内容は手のひらで電極を
握り,プロジェクションマッピングにより投影された心臓に指先で触れるというも
のだ.握った電極からは高電圧高周波の電気信号を与えることで画面と指先の間に
静電吸着を発生させツルツル,ザラザラといったテクスチャ感を感じることができ
た.また,映像を投影された画面には磁性流体が仕込まれており,映像の心臓の拍
動に合わせ垂直方向の力を発生させていた.異なる複数の感覚を同時に感じること
でここまでリアリティが高まるのかと驚きを隠せなかった.
 このほかにもその年の注目技術を取り上げて展示やシンポジウムを行う
Features 2016や企業や大学の先進コンテンツを紹介するContent Technology
Showcase (CTS),スポーツコンテンツを100倍おもしろくする超臨場感映像技術
展,第一回となる様々なユニークなデバイスやガジェットを紹介するガジェット
JAPANなどのプログラムがあった.
 今後もデジタルコンテンツの最前線を体験するため,来年のDCEXPOにもぜひ
参加したい.
https://www.dcexpo.jp/

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