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2014年3月25日

インタラクション2014 参加報告

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|◆ インタラクション2014
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細井 俊輝(東北大学)

 2014年2月27日から3月1日までの3日間,東京,お台場の日本科学未来館に
てインタラクション2014が開催された.本会議はヒューマンコンピュータインタ
ラクションに関する国内最大の会議であり,今年で18回目の開催となる.
 本会議では,シングルセッションの一般公演発表(口頭発表)とインタラクテ
ィブ発表(デモ)が3日間に渡って行われた.参加者はおよそ500人であった.
一般公演発表では厳正な審査を経て,53件中16件が採択された.インタラクティ
ブ発表では基本的に査読はないものの,採択された152件のうち43件は,プレミ
アム発表という格付けがされていた.一般公演発表の様子は別のサテライト会場
でも見ることができ,また,YouTubeによる配信もされており,参加できなかっ
た研究者への非常に大きな配慮があった.また,昨年までとは異なり,論文誌が
電子化され,インタラクション2014の公式サイトより事前にダウンロード可能で
あった.
 一般公演発表でのベストペーパーは,ソニーの笠原俊一氏らによる”JackIn:一
人称視点と対外離脱視点を融合した人間-人間オーグメンテーションの枠組み”
であった.これは,人間が他の人間の環境に没入し,その状況や体験を共有,共
同作業をする際のインタラクションの枠組みを提案したものである.これは,現
場にいる人の一人称視点映像を遠隔地から観察することができ,またARを用いて
遠隔地から指示を出すことができるシステムであった.
 インタラクティブ発表では,1日につき約50件の展示が行われた.参加者の投
票により,その日の発表の中で特に優秀であったもの2件にはインタラクティブ
発表賞が与えられた.3日間を通して,プレミアム発表のものが高評価を得てお
り,実際に研究のインパクトとでもシステムの完成度が非常に高いものばかりで
あった.2日目に受賞した,電通大の石井正也氏らによる”CCC: 振動機能を応用
した携帯端末での個人認証における覗き見攻撃対策手法の提案”は,暗証番号入
力の際のカーソルを振動に置換することで,番号入力を外部から視覚的に判断す
ることを極めて困難にし,安全性の向上を訴えている.その他にも,遊びの要素
や画期的なアイディアを取り入れた大変興味深いデモが多数行われ,会場にいる
方々を大いに楽しませていた.筆者も1日目に,インタラクティブ発表者として
参加したが,デモに対して多くの方々に様々な質問や指摘を戴き,この上ない充
実感を抱くことができた.
 上記の発表に加え,1日目の昼にはパネル討論,夕方にはマイクロソフトUXデ
ザインワークショップ,2日目昼にはWomen’s Luncheonが,さらに3日目のイン
タラクティブ発表の時間には第2回さきがけ領域シンポジウムが開催された.パ
ネル討論では,HCI分野における,論文化が困難であったり体験が必須であった
りする研究成果の発表方法について議論が行われた.また,マイクロソフトUXデ
ザインワークショップでは,今年夏に発売予定である最新型Kinectのデモンスト
レーション,製品開発や研究におけるUXの考え方やデザインに関する講演が行わ
れた.
 昨年も本会議にも参加したが,今回はより一層魅力的な発表と熱い議論があっ
たと感じた.このインタラクション2014の公式サイト及びYouTubeでは,論文誌
や一般公演発表の様子などを見ることができるため,ぜひ参照されたい.次回の
詳細な日程等は未定であるが,今後公式サイトで発表される予定である.

【公式サイト】
http://www.interaction-ipsj.org/2014/index.html
【YouTube 情報処理学会インタラクションシンポジウム】
https://www.youtube.com/channel/UCVzAsIAtO8aVCV43QNF48XA

Category: 学会参加報告

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