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2014年3月25日

Augmented Human 2014 参加報告

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|◆ Augmented Human 2014
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新田 慧(東京大学)

 2014年3月7日から9日までの3日間,人間及びそれを取り巻く環境の拡張に
関する国際会議Augmented Human2014が兵庫県神戸市にて開催された.
 本会議は今回で5回目を迎え,日本で開催されるのは2011年の東京以来2回目
である.本会議での発表件数は口頭発表が32件に加えデモ・ポスタ発表が26件,
採択率は36%であり,今回は開催国ということもあり参加者の多くが日本人であ
った.発表セッションは全部で8つに分けられ,Wearable Computing から
Tactile,Augmented Sports など多岐に渡っており,どのセッションでも活発な議
論が繰り広げられた.2日目と3日目に行われた基調講演は筑波大学の山海嘉之
氏とKaiserslautern大学のPaul Lukowicz氏によるものであった.山海氏はロボ
ットスーツHALの開発などで知られるサイバネティクスの専門家である.講演で
はHALを用いたInteractive Bio-Feedback(iBF)によるリハビリテーションに
ついて臨床データをもとに紹介され,ロボットスーツによって足を動かし,脳に
足が動いた感覚をフィードバックさせることで最終的にロボットスーツの補助な
しに歩行などが可能になったという報告は非常に興味深いものであった.最終日
に行われたLukowicz氏の講演は「人類が全身をオーグメンテッドした未来がきた
時,それが社会にどのような影響を及ぼすのか?」というテーマに沿って行われ,
アプリのリクエストなどからイベントへの来場者数を予測した例や,ユーザの場
所やアクセス頻度などのソーシャルデータを解析することで社会資源や人を効率
よく分散させるシステムなどが紹介された.
 Best paper award には「Around Me:A System for Providing Sports Player’s
Self-images with an Escort Robot」(J. Tominaga, et al., The University
of Tokyo)が選ばれた.このシステムはランナーの前方を伴走するモニターのつ
いたロボットによって,ランニング時のセルフイメージを提供することで,ラン
ナーのフォームの改善やモチベーションの維持などを行う為のシステムである.
今回はAugmented Sportsというセッションが用意されていたこともあり,山海氏
の基調講演を含め,スポーツ分野への情報,機械工学の更なる進出による未来に
ついて多く議論がなされていたように感じた.その他の発表に関しても,
Honorable Mention award に選ばれた頭部姿勢や姿勢によってヘッドマウントディ
スプレイ上での情報提示位置を移動させることを検討した「Boundary Conditions
for Information Visualizationwithrespect to the User’s Gaze」(Marcus
Tonnis, et al., Technical Universityof Munich)など,いずれも興味深い研究
ばかりであった.次回のAugmented Human2015 はシンガポールで開催が予定され
ている.今後も引き続き,我が国おける本分野での更なる発展と貢献を望む次第
である.
【公式サイト】
http://cse.eedept.kobe-u.ac.jp/ah2014/

Category: 学会参加報告

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