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2014年9月26日

ISMAR2014 参加報告

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|◆ ISMAR2014
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五十川麻理子(NTT)

 2014年9月8日~12日にかけて,ISMAR2014(The 13th IEEE International
Symposium on Mixed and Augmented Reality)がドイツのミュンヘンにて開催され
た.発表は技術系論文を扱う S&T (Science & Technology) とアートやメディア,
人文系の論文を扱うMASH’D(Media, Arts, Social Science, Humanities and Design,
AMHから名称変更された) の2トラックから構成され,S&Tにおける本年度の論文
投稿件数は87件,このうち採用されたのは33件で採択率は37.9%(昨年度25.2%)で
あった.
 会期は5日間にわたり1,2日目にはワークショップおよびチュートリアルが行わ
れた.その後の3日間で3件の基調講演,41件の口頭発表,44件のポスター発表,
41件のデモ発表が行われた.3日目のレセプション時には,ミュンヘン工科大の建
築科キャンパスに移動しArt Exhibitionが行われた.
 基調講演はカーネギーメロン大のTakeo Kanade氏,Robarts Research Institute
のTerry Peter氏,HIT labの創設者であり現在はワシントン大のTom Furness氏によ
るものであった.Kanade氏は,有名なプロジェクトの一つである雨粒や雪粒を避
けて照らす車のヘッドライト照射や,逆に雨粒・雪粒へのプロジェクションを可能
とする Smart Headlightについて講演した.Furness氏は歯医者などの苦痛を伴う
治療であってもHMDなどを装着し仮想空間に意識を持っていくことで苦痛を軽減
可能であるという被験者実験を例に挙げ,AR技術の可能性について講演した.
 アワードにはBest Long/Short Paper Award各1件,Best Demo Award 1件,
Best Poster Runner-Up Award 1件,Best Poster Award 1件が選ばれた.Best
Long Paper Awardはタブレット上でリアルタイムに現実空間の照明環境を仮想物体
に反映させることを可能にした,RohmerらによるInteractive Near-Field
Illumination for Photorealistic Augmented Reality on Mobile Devices(ドイツ)
に贈られた.室内に取り付けた3台の魚眼カメラのキャプチャ画像を利用し,複数
の仮想物体への照明レンダリングを可能とする手法であった.
次回のISMAR2015は福岡にて2015年9月29日~10月3日の5日間開催予定である.日本
での開催は8年ぶりとなる.
【ISMAR2014】http://ismar.vgtc.org/

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