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2014年12月25日

Asia Haptics 2014 参加報告(2)

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|◆ Asia Haptics 2014 参加報告(2)
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半田拓也(NHK放送技術研究所)
 Asia Haptics 2014が,筑波国際会議場にて2014年11月18日から20日まで開催された.今回が第1回目である.スライドを用いた口頭発表という形式がなく,全てがデモ展示というこの分野ならではの斬新な国際会議となった.デモ展示のコアタイムの前に,1時間半程度のLive presentationという発表形式が設けられており,発表者は,研究とデモの内容について自身のブースの前で紹介する.このプレゼンのライブ映像が会場のスクリーンに大きく映し出され,参加者が視聴するというスタイルである.1パートのコアタイム毎に23件ほどのデモが生中継スタイルでテンポよく紹介され,あらかじめ体験方法や内容を把握することができ、有効であった.寸劇的に体験者とのやりとりを演出した発表などが会場を沸かせていた.2時間ほどのコアタイムで,ほぼ全てのデモを体験して議論することができたが,コアタイム外の時間にも熱心にデモを行っている研究者も多く,アンケートによる評価や実験データの収集を兼ねているブースもみられた.
 記念すべき第1回のBest demonstrationには,Saekwang Nam(ETRI)らの,Highly Flexible and Transparent Skin-like Tactile Sensorが選ばれた.透明な薄いシート内に,5mm角の12個のセンシング部とwaveguide(光ファイバーのような導波路のパターン)が実装されており,センシング部の押し込みによる光の強度変化で力を計測するというものであった.腕に巻くように曲げた状態でもノイズや誤検出がなく,シート内には電子回路等が実装されていないのが特徴とみられる.一見するとただの透明なシートであるが,押した箇所ごとの力がパソコンの画面上に色で表示され,複数点の接触力を同時に計測可能であることがわかった.
 佳作には,温水のポンプ制御によるパルス刺激提示部と力覚提示装置を組み合わせ,温冷感覚と触覚を複合的に提示するシステム(EPFL)など,7件が選ばれた.いずれも,体験すれば即座に研究の意味がわかる展示内容となっており,デモも完成度が高く、見せ方にも工夫があった.特に,遠隔の物体に触った感覚を1自由度の力覚ディスプレイで提示するという研究(筑波大学)では,「思った以上によくわかる」という実体験が得られ、デモ展示ならではのメリットが生かされていた.電気刺激による力覚提示(広島大学)やHeatHapt(筑波大学)など,デモの体験にあたり同意書にサインする機会が多い国際会議でもあった.もちろん万が一に備えてのことではあるが,同意をためらって体験を控える参加者は見受けられず,むしろチャレンジングな研究として注目を集めていたといえる.
 次回は,2016年11月29日~12月1日の3日間,環境未来都市として発展が目覚ましい千葉県柏市 柏の葉で開催予定である.
http://asiahaptics.vrsj.org/2014/

Category: 学会参加報告

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