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2016年7月26日

3次元画像コンファレンス2016 参加報告

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|◆ 3次元画像コンファレンス2016 参加報告
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前田 哲汰(名古屋大学)
 今年で24回目を迎える3次元画像コンファレンスは2016年7月13日,14日の2日間
に渡り,関西大学千里山キャンパス100周年記念会館にて開催された.本コンファ
レンスは,3次元をキーワードに光学分野,視覚関連,情報処理,医療応用など
様々な分野の研究者が一堂に会する国内最大の総合コンファレンスである.
 招待講演のセッションでは3名の招待講演者が講演を行った.1人目の加藤真平
先生は完全自動運転システムのオープンプラットフォームという題目で複数のカ
メラで自動運転を制御する技術についての講演を行った.2人目の森健策先生は多
元計算解剖モデルに基づいた多元シームレスナビゲーションとその臨床応用と題
して,3人目の佐藤嘉伸先生は運動器の多元計算解剖モデル:筋骨格3次元医用画
像解析と手術支援と題して3次元画像の医療への応用について講演された.多くの
肩書を持ちご多忙な方々だったため,非常に貴重な機会を頂く形となった.
 一般発表では査読を通過した37件(講演23件,ポスター発表14件)の発表が行
われた.
 東京農工大学から視覚補助機能を有する立体シースルーディスプレイが発表さ
れた.立体シースルーディスプレイの光学系に非対称性を導入し,背景内の任意
の奥行位置にある物体面を,異なる奥行位置に結像させている.これによって,
近視や遠視などの人に対して目のピントが合う位置に背景画像を結像して見せる
ことができ,視覚補助が可能となる.このようなディスプレイの研究が進めば近
視化が進む現代人にとって有意義なものとなるはずであるためとても注目された.
 東京工業大学から色情報を利用したホログラフィック3Dタッチインターフェー
スについての評価報告がなされた.立体像を3次元空間に再生する3Dディスプレイ
は走査空間と映像空間を一致させることができるため,直感的で誰にでも使いや
すいUIシステムである.透明なホログラフィックスクリーン用いた3Dディスプレ
イによりスクリーンとユーザーの間に実像を再生するタッチUIにおいて,色認識
アルゴリズムの改善による識別可能な色数の向上,および実験に基づく識別精度
の評価結果が報告された.
 また,大阪府立産業技術総合研究所から360°の水平視域を有するホログラフィ
ック3Dディスプレイのフルカラー化の発表があった.高速応答可能なSLMとそれに
同期制御された回転ミラーを用いて時分割法を実現し,水平方向の視域を完全な36
0°としている.表示領域を3分割し,それぞれのRGB成分に対応するホログラムを
表示させることでフルカラーに対応している.まだ課題は残されているが,将来
性のあるディスプレイであるため質疑応答は盛り上がりを見せた.
 ポスターセッションではホログラムや360°ディスプレイなど実機を用いたデモ
が行われており,盛況を博していた.
 また,会場内には世界的に著名な久保田先生のカラーホログラム作品やホログ
ラフィ関連技術,3次元センサーフュージョンなどのデモが展示されており,裸眼
でも高精度な立体視を楽しむことができた.
 筆者は自由視点映像のアルゴリズムについて発表を行ったが,それとは全く毛
色の違う様々な3次元画像の研究について聴講でき,体験もできたため本コンファ
レンスへの参加はとても有意義であった.
http://www.3d-conf.org/

sanka

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